この記事では、「ガクチカが本当にない」と悩んでいる方に向けて、ガクチカがないと思ってしまう原因や見つけ方、実際に使える例文をまとめています。
ガクチカはすごい実績や経験がないといけないと思っていませんか?特別なインパクトのあるエピソードではなくてもガクチカになるのです。
その理由を解説するので、ガクチカが本当にないと悩んでいる方は参考にしてください。
ガクチカとは

ガクチカとは就職活動の企業の面接で、「学生時代に力を入れたことは何か」という質問のことです。学生時代(ガク)に力(チカ)を入れたことを略した言い方です。
就活生の中には、自分は学生時代に頑張ったことは何もないと思っている人が多くいますが、ガクチカは輝かしい成績である必要はありません。
優れたエピソードを話すのではなく、自分なりにどう考えて行動したか、その結果得られたものはなにかを伝えることが大切です。
今はガクチカがないと思っていても、過去の経験の過程を振り返ることで、自分のガクチカを見つけることができるのです。
なぜ企業はガクチカを聞くのか

ガクチカがないと思っている人は、認識を変えていく必要があります。そもそも企業はどうしてガクチカを聞くのかという企業目線で考えてみましょう。
ガクチカで企業は何をみているのか
企業側は、まだ社会経験の少ない学生に結果や実績はそこまで求めていません。学生時代の成績が本当に社会で通用するかはわからないからです。
新卒採用の場合、日本の多くの企業はスキル重視ではなく、ポテンシャル重視の採用といわれています。入社後に自社で成長する見込みがあるかを探るために、ガクチカを質問するのです。
そのため結果ではなく、「なぜ取り組もうと思ったのか」「起こった問題をどう解決したのか」「最終的に何を得たのか」など取り組みの中での思考や学びを伝えましょう。その思考が企業の理念にマッチしていたら、入社後も活躍してくれるのではないかと判断されるのです。
ガクチカの企業の評価基準
ガクチカから何をみられているのかを知ることで、使えるエピソードが具体的に思いつくかもしれません。企業の評価基準を紹介するので参考にしてみてください。
●社風とマッチする人物か
企業に就職するということは組織の中で働くことになるので、その組織の社風に合っているかが重視されます。マッチしていなければ早期退職に繋がってしまうため、過去のエピソードを聞いてどんな思考で行動したのかを知って、人柄を捉えようとしています。
●学びを得ているのか
経験した事実を説明するだけのガクチカでは、その人のポテンシャルを知ることはできません。取り組みの過程で考えたり問題解決をしたりしながら、学びを得られる人の方が入社後の仕事に取り組む姿勢も期待できると企業は考えています。
●伝える力があるか
コミュニケーション能力は多くの企業で必要なので、自分の経験をアピールできるのかも見られています。きちんとわかりやすい言葉で伝えられているかは1つの評価軸です。
企業ごとにガクチカは変えるべきか
企業ごとに変えた方がいいとされています。ガクチカは企業にマッチしているかが最も大きい評価基準だからです。入社後のポテンシャルを見られているので、その企業の理念や社風に合わせたエピソードを選ぶとよいでしょう。どの要素をアピールするかは、企業が明らかにしている採用基準などを参考に、企業が求める人物像に照らして検討するのがおすすめです。
ガクチカはなんでもいいのか

ガクチカは実績が求められないなら、趣味でもいいの?どんなエピソードでもいいの?と思う人に向けて、具体的にどんな経験を書くといいのかを紹介します。
ガクチカは趣味でもいいのか
よくある質問として、「ガクチカは趣味でもいいのか」ということが挙げられます。
結論、趣味で書くことはできます。しかし、趣味で書く場合、注意したいポイントがあります。それは、単に楽しかった出来事で終わらせないことです。
例えば、「趣味の筋トレにおいて、ボディビルの全国コンテストに出場することを目標に努力してきました。具体的には…」というように、どのような目的や目標を持ちながら、何を考えて継続してきたかを伝えることで、趣味の領域を超えた独自のガクチカになります。
オリジナリティ溢れたガクチカが作れるので、面接官の印象に残るものになります。
ガクチカはどんなものが多いか
ガクチカのエピソードとしてよく使われるカテゴリを紹介するので、学生時代の経験を振り返りながら読んでみてください。
●学業・研究・ゼミ活動
ゼミの研究結果や論文完成に至るまでの過程を振り返ってみましょう。
テーマに関心を持った理由や仮説へのアプローチ方法、成果物が完成するまでに試行錯誤したエピソードを通じて「真面目さ」「堅実さ」「努力家」という側面をアピールすることができます。
注意点としては、研究対象に対して熱い想いがある程、専門的かつ細かい内容に偏りがちになってしまうため、せっかくいいエピソードでも、採用担当者に伝わり切らないということがあります。
具体的な数字を入れる、専門用語には簡単な補足を加える、細部ではなく全体の過程を伝えることを意識して構成していくことがおすすめです。
●部活動・サークル活動
集団活動において、組織の中で自分がどのように立ち回ってきたかを振り返ってみましょう。
多くの人間が協力してビジネスを動かしていく以上、組織における役割認識力や行動力は社会人にとって必要不可欠な要素です。
そのため、複数名で活動するサークル活動・部活動におけるガクチカは、入社後の活躍ををイメージさせやすいカテゴリです。
例えば、「サッカー部の部長として、メンバー1人1人の考えを大切にしながらも、同じ方向を向けるようにまとめた」「役職はなくても、周りに言えないようなことも言える相談役としてサポートした」等のエピソードは、集団における振る舞い方や、他者へ働きかける力等のスキルとしてアピールしやすいです。
集団全体を意識した行動力をベースに、個人としても組織としても活躍できる人材であつことをアピールしましょう。
●アルバイト・インターンシップ
アルバイトを通じてビジネス的視点で行動したエピソードを振り返ってみましょう。
アルバイトは、学業やサークルとは違い、戦略や利益、売上等のビジネス的な視点が求められる活動です。
そのため、論理性や客観性、課題発見・解決力等、仕事を進めるために必要な思考力をアピールしやすいカテゴリです。
例えば、「カフェで売上をあげるために学生をターゲットとして集客をした」「塾講師として、生徒の受験合格に向けてその子に合わせた問題解決をした」等のエピソードは、ビジネス的思考力が身に付く過程を通じて、入社後の伸びしろをアピールするのに最適です。
アルバイトのエピソードでは、どのような問題意識を持ちながら行動していたのか、結果としてどのようなスキルを身に付けたのかを具体的に伝えながらアピールしていきましょう。
ガクチカが本当にない人の原因

ここまでの例をみても、自分にはガクチカがないと思っている人はいませんか?そのような方はガクチカの捉え方に原因があるかもしれません。その原因をお伝えします。
自分の経験がガクチカにならないと思っている
自分の経験がガクチカとして弱いと考えてしまっていませんか?
「全国大会で優勝した!」「大学で成績優秀賞をもらった!」というような、すごいエピソードを探してしまうことでガクチカがないと思い込んでしまいます。
ガクチカには輝かしい実績ではなく、結果よりも過程における成長に重点が置かれています。
上記でも示した通り、採用担当者は、物事に取り組む姿勢や行動を通じて、入社後のポテンシャルを探りたいと考えているからです。
そのため、これまでの人生でどのように考え、実行してきたかをアピールすることの方が重要です。結果を伴うガクチカはインパクトこそ強いものの、それだけでは高評価には繋がらないことを再認識しましょう。
ガクチカに正解があると思っている
ガクチカの正解を意識しすぎて思考が止まっているパターンもあります。
周りと同じようなテーマを探したり、ネットにある情報だけを参考にしていると、自分にはこんなエピソードはないと思ってしまいます。
しかし、ガクチカはよくあるテーマで話さなければいけないわけではありませんし、インパクトがなければいけないわけでもありません。
課題意識を持って、具体的にどのような行動をしてきたかという過程を伝えることが目的なので、どんなエピソードでもいいのです。
そのため、「体調管理と時間管理を心がけて大学の授業は全て無遅刻無欠席」「周りの状況を見て、部員全員に声かけを必ずしていた」等、課題意識を持って行っていた日常の1コマでも十分ガクチカになります。
正解に囚われすぎずに、自分の意志と目的を持ったエピソードへ重点をおいて日常を振り返ってみましょう。
ガクチカが本当にない時の見つけ方

ガクチカが本当にないと思っている方でも、様々な視点から過去を振り返ることで、新たな発見があり、オリジナルのエピソードを見つけることができます。ここではおすすめの4つの方法をお伝えします。
①自己分析をして過去を振り返る
自己分析をして過去を振り返るという方法です。
自己分析ツールを使うことで、より効率的に自己分析ができるのでおすすめです。様々なサイトで無料で使用することができます。
あらかじめ用意された複数の質問に回答するだけで、過去を可視化しながら振り返ることができ、客観的な分析結果を基に新たな視点でガクチカに繋がるエピソードを拾い出すことができます。
さらに、自己分析サイトでは、自分の価値観や強み・弱みも一緒に診断してくれる点がポイントです。ガクチカエピソードを通じて、自身がどのように成長できたかというストーリーが見えやすいので、活用しやすいです。
また、多角的に自身を振り返るためにも複数の自己分析ツールを併用する方法がおすすめです。複数の診断結果を比較しながら、自分の核に繋がるガクチカエピソードをピックアップしていきましょう。
②就活のプロに相談する
就活エージェントや就活支援サービスを上手く利用し、就活のプロと一緒にガクチカを作っていきましょう。
友達や先輩、大学のキャリアセンターに相談する方法もありますが、自身の経験を客観的にガクチカとしてアドバイスを貰えるのは、就活エージェントが1番です。
就活エージェントなら、学生に対して個別にプロのキャリアアドバイザーが付き、無料で自己分析からES・面接対策等の就活対策全般をサポートしてくれるところもあります。
過去を丁寧に振り返り、ガクチカに繋がるエピソードを引き出してもらえるのはもちろん、ガクチカの書き方やガクチカとリンクした面接対策ができるのも大きなメリットです。
③本やサイトを見て作る
就活本や就活サイトには、ガクチカの定義からエピソードの見つけ方、内容の構成・作成のコツに至る一連の流れを、具体例も踏まえながら丁寧に解説しています。
各ステップにおける重要ポイントも提示してくれているので、段階を踏みながら着実にガクチカ作成スキルを身に付けていくことができます。
ガクチカのスタートからゴールに至るまでのフローを分かりやすく説明してくれているので、全体像を効率良く理解したい時に最適です。
④友達や家族に聞く
日常的に交流がある人は、自分では気付かない角度で自分の行動を見ていることがあります。
他者視点で日常を振り返ることにより、自分では気が付かなかったことが強みとして発見され、仕事のベースに繋がるスキルを見つけ出すことができます。
信頼のおける友達や家族の意見を参考に、素の自分が持つ魅力を引き出して、そのエピソードをガクチカに使っていきましょう。
ガクチカの書き方の例文

ここで、さらにイメージをつけるためにそれぞれのカテゴリで例文を紹介します。
①学業
私は学生時代に学業へと打ち込み、高いGPAを目標に日々勉強を頑張りました。勉強を頑張ろうと思ったのは、大学受験で失敗した経験があり、第一志望の大学に入ることができなかったことがきっかけです。とても悔しい経験でしたが、このまま勉強から逃げるのは嫌で、もっと学業で高みを目指したいと思いました。
全ての授業でA評価以上を獲得するという目標を立てました。まず大学受験で失敗した原因を振り返りました。当時は量が全てだと勘違いし、睡眠時間を削りながらとにかく過去問をこなしたことが問題だったのではないかと考えました。大学の勉強は量はもちろんですが、質に注目しました。間違った原因を細かく分析し、再度同じような問題は間違わないことを徹底しました。
その結果、これまでの3年間全ての授業でGPAをA以上獲得することができています。この経験から、失敗しても次に間違わないように、問題解決をすることが重要だと気がつきました。この問題解決の力を社会人になっても仕事をする上で活かしていきたいです。
②部活サークル
私はテニス部で「県大会出場」を目標に活動していました。
しかし、大会の前に練習メニューのことでチームメンバー同士が揉めてしまいました。そこで私は相談役になることが多かったため、1人1人の考えや今思っていることを聞いてみました。チームメンバーの状況を把握したところ、チームの意見が分かれているのではなく、お互いの意見共有が足りずに誤解が起きていたことに気がつきました。キャプテンと相談し、全体会議を開きお互いが思っていることを話す機会を設けました。それぞれの考えを全員が知ることで誤解も解け、練習メニューも決まりました。さらにチームワークが深まった瞬間になりました。
この結果、県大会出場という目標を果たすことができ、最高のチームで最後の大会を終えることができました。チームで何かを目指すと衝突もありますが、逃げずにお互いが向き合うことが大切だということを学びました。入社後もチームで仕事する際に活かしていきたいです。
③アルバイト
私は学生時代にカフェのアルバイトで、来店数を増やすために何をするかを店長と考え、実行しました。
近くに大学があったため、大学生の集客に目をつけました。まずは認知されていないことが原因だと考え、お店のInstagramのアカウントを作成し発信をしました。ターゲットの大学生に向けたデザインを使ってお店のメニューを紹介し、徐々に大学生の認知が増えました。しかし、来店数には繋がらなかったため、大学生の友人達に協力してもらいリサーチをしたところ、「勉強ができる席」に需要があることがわかりました。そこで店内のレイアウトを変え、作業スペースを設けました。
その結果、来店数が3倍になり、売上も2倍近く伸びました。一度失敗しても諦めずに、試行錯誤を繰り返せば、問題解決ができることを学びました。入社後も様々な課題と向き合い、諦めずに解決に向けて試行錯誤していきたいです。
④資格
私は大学の授業と平行してTOEICの勉強をし、2年間で400点から870点を取得できました。
TOEICを勉強しようと思ったのは、英語の苦手に向き合わないまま、克服できずに大学生になったので、苦手なことでも成し遂げる経験をしたかったからです。始めに受けた点数が400点だったので在学中に800点を目標に掲げ、勉強を始めました。空き時間に市販の単語帳を用いて勉強をしていましたが、ついつい遊びを優先してしまい、後回しにしてしまいがちでした。しかし、これでは目標を達成できないと思い、1日単位で細かく計画を立て、時間管理を徹底し、1日の中で必ずやることを決めました。また、サボらないように同じように頑張っている仲間を探し、一緒に切磋琢磨し合いました。
その結果、勉強を継続することができ、2年後には870点を取得することができました。この経験から、何かを成し遂げるには継続とそのための環境を自分で作ることが大事であり、目標の達成につながる行動を日々積み重ねることが必要だと学びました。
以上がガクチカの例文です。ぜひ自分のストーリーに当てはめて参考にしてみてください。
まとめ

「ガクチカが本当にない」と悩んでいる方に向けて、そう感じてしまう原因や解決策、例文などを紹介してきました。
ガクチカで一番大切なのは、インパクトやすごい結果、実績ではありません。企業が一番知りたいことは、入社後に活躍できるポテンシャルがあるかどうかです。そのため、過程を明確にして、あなたの行動や思考をアピールすることが重要です。
過去を振り返ると、自分にしかないオリジナルのエピソードが見つかるはずです。